次に、今度はバルの床に目を移すと、使い終えた紙ナプキンservilleta、コーヒーやお茶に付く砂糖の袋、タバコの空き箱、ときにはエビの頭やオリーブの種などが山のように捨てられていて、なんだか随分と汚い。タタミ文化の靴脱ぎ国からやってきたニッポン人の私は、やはり違和感を覚えずにはいられない。などと考えているうちに、また紙ナプキンが捨てられた。 "郷に入りては郷に従え。Donde fueres haz como vieres." と諺にいうくらいである。ものの試しに私も砂糖の空いた袋を床に捨ててみたが、するとあることに気づいた。それは、「カウンターの上にあったゴミを床に捨てれば、カウンターの上のゴミがなくなる」 のである。まあ、少し考えれば当然であるが、ゴミを床に捨てればカウンターの上がきれいな状態に保たれるというのは、バルでは意外に重要なことなのかもしれない。というのも、バルのカウンターという場所は、過剰なサービスが供されず、あくまでセルフサービスによって成り立っている、という原則を垣間見た気がしたからである。 |